■偽造カード、原板密輸 35歳中国船籍船長に有罪判決
国内で横行する偽造クレジットカードが大きな社会問題となっている。中国人6人が今年8月、日立港に停泊中の貨物船から偽造クレジットカードの原板(生カード)を密輸しようとした事件では、関税法違反罪に問われた中国国籍の船長、解徳義被告(35)が19日、水戸地裁(鈴島晋一裁判官)で懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡された。(豊田真由美)
生カード密輸は、それまで主だった航空機旅客によるものに加え、平成17年から船舶乗組員による犯行もみられるようになった。「背後に犯罪組織があるのは明らかで、組織的犯行であり悪質」という鈴島裁判官の指摘通り、この密輸事件は氷山の一角とみられる。
県警組織犯罪対策課は「この事件はまだ生きている。判決が出たら終わりではない」と捜査を続けているが、生カード密輸を防ぐ税関の管理体制のあり方も、ますます重要になりそうだ。
平成18年の関税法改正で生カードが禁制品に加えられ、カード会社もクレジットカードにICチップを搭載するなどして偽造防止策に尽力し、クレジットカードの偽造は難しくなってきた。だが、「偽造する側とのいたちごっこ」(同課)は未だ終わりそうにない。
中国人を中心とした偽造グループには、生カード製造▽密輸▽スキミング▽生カードへの磁気情報入力▽偽造カードの不正使用による高額商品購入▽購入品の換金−などの役割分担があるとみられる。
密輸の現場となった日立港を監視する鹿島税関支署日立出張所では、北茨城市から大洗町までの海岸沿いにある計13港を、わずか7人の職員で監視している。密輸事件では男性職員の職務質問で密輸を防いだものの、「日本は海に囲まれた島国でどこからでも入れるのに、職員が到底足らない厳しい状況」(同出張所)だ。
しかも、「船員は航空機旅客より信用されているので、上陸許可が出れば寄港地に上陸できる」(同課)ため、船員の密輸は比較的容易。
財務省関税局は「警察や海上保安庁など取り締まり機関との連携が必要」と話すが、人員不足をカバーし、航空機に劣らない管理体制の構築が求められる。